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貴方を愛した記憶 Page[






                          

愛してる






たった5文字の言葉なのに
すげぇ大きな意味を持つ言葉。
すげぇ大切な意味を持つ言葉。






オレは銀次のことをこの世の誰よりも愛していたのに、その言葉をあえて口にはしなかった。
口にしなくても銀次は分かってくれていたから。
それにアイツはオレに「愛」の言葉を特には強要しなかった。
本当は欲しかったのかもしれないのに、欲しがらなかった。
だが、その分アイツ自身が「好きv」って言ってくれていた。
沢山、沢山オレに愛の言葉をくれた。
だからオレは、愛してるの言葉の代わりに―
アイツを抱き締めた。
アイツに口付けた。
抱き締めると嬉しそうに笑っていた。
口付けるともっと幸せそうに笑っていた。
オレはアイツの笑顔だけで充分だと思っていた。
アイツもそれだけで充分なんだと思っていた。






エゴイスト




オレはなんて自分勝手だったのだろう。
本当は銀次だって『愛』の言葉が欲しかったのかもしれないのに―


抱き締めて
口付けて
そして
『愛してる』
そう言って欲しかったのかもしれないのに―


何故オレは勝手に銀次の気持ちを解釈してしまったのだろう。
どうしてアイツに愛してると言ってやらなかったのだろう。
もっとアイツに愛してるって言えば良かった。




伝える時間は


沢山


沢山


沢山


あったのに―









一緒にいた時間も


沢山


沢山


沢山


あったはずなのに―








言えなくなる日が来るなんて思いもしなかった。
伝えられないのがこんなに辛いなんて考えもしなかった。
アイツが笑ってオレのことを『好きv』って言ってくれる分、
オレも伝えれば良かった。






アイツがオレに笑い掛けてくれるたび
アイツがオレの名前を呼んでくれるたび
オレの心は穏やかになっていった。
癒されていくのを感じていた。






一体いつからなんだろう―


いつからオレの中での銀次の存在が


此処まで大きくなってしまったのだろう―




いつからオレはこんなにまで


銀次の事が


好きで


好きで


好きで


愛おしくて


たまらなくなってしまったのだろう―







××続××